2019年3月8日(金)から10日(日)の3日間にわたり、VRChat(以下VRC)内で開催された「バーチャルマーケット2」(VR法人HIKKY主催)。出展された3D作品を鑑賞するに留まらず、自由に試着や動作確認などもでき、QRコードなどを利用して購入も可能という仮想空間上の展示即売会です。
昨年8月に第1回が開かれましたが、今回は開催前から続々と流れるスポンサーの情報に「すごいことになりそうだ…!」と予感していた方も多いのではないでしょうか?
本記事は、VRCどころかバーチャル空間ほぼ初心者の筆者が、Vtuberのルートさんに案内(画面共有)してもらいながら拝見した「バーチャルマーケット2」の模様をお届け。
ワールドごとにコンセプトが異なる6つの会場、そして、本イベントの参加者インタビューをご紹介します。
(尚、インタビュー以外は主にローカルで撮影したものとなります)
目次
未来にログインする―――
始まりは部屋に出現した「GATE」から
普段と変わらない日常を過ごしていた「私」の部屋に、突如降ってきた大きな水晶。「GATE」と書かれた1枚のメモが貼られたこれは一体どこへつながっているのか―――
そんな前語りが聞こえてきそうな「部屋」を経てバーチャルマーケット2は始まります。
参加者を出迎えてくれる「VMエントランス」
輝く水晶に触れると、モスコミュールさんが創造した「VMエントランス」に降り立ちました。
巨大なクジラをモチーフにしたこちらのワールドは、upd8、にじさんじ、GugenkaなどのVtuber界お馴染みの企業をはじめとする本イベントのスポンサーブースが並んでいます。
中でも巨大なキズナアイちゃんが目を惹くupd8ブースには所属Vtuberのなりきりセットが並べられており、さっそく「ふくやマスター」のお面を身に着けるルートさん。
シュ、シュールだ…。
ツクモさんのビルを模したこちらのブースでは、所定の場所で撮影するとビルの看板に自分の姿が投影されて有名人な気分を味わえます。
クラウドファンディングの支援者の名前が刻まれた記念碑。イベントが終わっても総勢900人以上の支援者の名前がこの世界に残り続けます。こうして物理的な風化の恐れが無く「思い出」を残していられるのはバーチャルならではのメリットでしょうか。
クジラの噴気に乗って移動した先は、各ワールドにつながるポータルエリア。いくつも並んだ扉の向こうにはその先にあるワールドが見えている、という点も、次の会場への期待に胸が膨らむ要素となりました。
幾何学模様で創られた「バーチャルミュージアム」
(※無音部分も演出です)
会場内の音を集める「アルテマ音楽祭」プレゼンツの企画も体験できるバーチャルミュージアムは、番匠カンナさんが創造したワールド。足を踏み入れると白い空間から幾何学のフレームが浮かび上がり世界を構築していく…という演出からスタートしました。
色とりどりのエフェクトが浮かんでいたり花が咲いていたりと決して無機質なわけではないのに、静謐な印象を受ける世界です。
(※クリックで拡大)
入り口から最奥が見えず、ワールドに入った瞬間から「すごい…広い!」と驚いた筆者ですが、重要なことを失念していました。
この「バーチャルミュージアム」…のみならず他のワールドにも言えることなのですが、各ワールドは複数層から成り立っているものもあり、全10会場もあるのです。
そしてバーチャル空間初心者は「VMエントランス」の時点で「これ何ですか?」を連発しながらルートさんを振り回していたため(本当にすみません)、ここに来るまでに既に1時間が経過していたという。…ようやくエントランスから移動したばかりなんですけど!!!???
取材の予定は長くても3時間、だったため、この時点でどうがんばっても全会場は回り切れないことを悟る筆者。
今回のバーチャルマーケット2に参加された方は実感されていると思いますが、3日間にわたり開催されたのも納得できる大規模なイベントでした。
とにもかくにも全ワールドを体験して写真に収めたいので、会場をぐるっと周ったら次のワールドに行く…という方針を固めて、「アルテマ音楽祭」企画を体験することに。
アルテマ音楽祭
イルカに誘われて向かった先は宇宙の創成を連想させる世界が展開されていき「これはVRで体験してほしいです!!!」を連呼するルートさん。
少年心をくすぐる「Future Terminal」
(※クリックで拡大)
次に訪れたのはSigさんが創造したワールド「Future Terminal」。真ん中は昇降機が設置された吹き抜け、それを囲む形でブースが展開されています。サイバー感溢れる空間ですが、近いうちに現実でも見られそうなリアルな設計。
こちらの出展作品はメカ要素たっぷりのものが多く、SF的な装備をまとった少女や武器などが展示されるなか、やはり目を引くのはロボット!!重厚感のあるガッシリしたものから、スタイリッシュなものまで選り取りみどり。プラモ好きな人にも「たまらん」空間なのではないでしょうか?
お、なんか箱が落ちてる…?
「うおっ」という声が実際に飛び出た場面…いやホントにびっくりしました。リアルでは不可能な、こんなギミックが体験できるのも見どころのひとつですね!
音が可視化される音楽メディア。こういうのがリアルでも欲しい!と思わせてくれる作品です。
屋上ではYORIMIYAさんのパーティクルライブが体験できるようになっていました。アルテマ音楽祭に続き「これはVRじゃないとわからない感覚ですよ!!!!(byルートさん)」
小旅行気分を味わえる「異世界マルシェ」
(※クリックで拡大)
中世ヨーロッパってこんな感じだろうなぁ、な雰囲気を味わえる「異世界マルシェ」はRootgentleさんが創造したワールド。壁に囲まれた石畳の町は、大通りのある中央区からさらに西区・東区に分かれています。
露店の商品あるいは店員として風景に溶け込むように作品が展示されているのが特徴で、お店を覗きながら散策するという小旅行気分を味わえるワールドでした。
この世界では「秘密の扉」があるとのことで、RPGの主人公よろしく、各建物への侵入を試みる特派員。路地裏感がたまりません。
かわいいとモフモフが堪能できる「モクリバザール」
(※クリックで拡大)
つくしあきひとさんの「モクリプロジェクト」とコラボレーションしたファンタジーな世界がこちら「モクリバザール」。
海が見える崖を削って作られた町でしょうか。6つのワールドの中でも唯一といってもいい自然が溢れる世界で、もふもふ要素があふれる動物好きにはたまらないワールドです。
ちなみにこちらの世界、ポータル(別ワールドへの扉)がてっぺんに設置されており、「遠いんですよね~」とはルートさんの弁。バーチャルの体なら疲れ知らず、のはずですが…。「今ここにいる」という実感を伴うからこそ距離を感じるのかもしれません。
郷愁の念を呼び起こす「絢爛博覧会」
(※クリックで拡大)
東洋とスチームパンクが融合したこちらの世界は、ヨッシャさんが創造されたワールド。歯車をモチーフにした舞台を昇っていくと、鳥居に提灯、紅葉…と、目にも鮮やかな朱色が印象的な光景が広がっていました。夕焼けなのか、はたまた朝焼けなのか。初めて訪れる世界であるにも関わらず、射し込む光にどこか懐かしさも感じられ、お祭りのような空気の中に少し切なさもある不思議なワールドでした。
初対面でもすぐ仲良くなれる!を実感したインタビュー
バーチャルマーケットの開催は2回目。筆者はもちろんのこと、ルートさんも前回は未体験。参加ブースが5倍に増えて規模が拡大したことは知っているものの、どんな風に変わったのかという実感はありません。
前回とどんなところが変わったのか、また、参加者はどんなところに惹かれてこのワールドにやってきたのか…を知るべくインタビューを決行!
インタビューのなかで判明したのは、バーチャルマーケット初参加=VRC初体験、の方が多いということ。Twitterなどで開催を知った方がすぐに参加できるのが、時間・場所に左右されないバーチャルの強み。
前回は主催の方にフレンド申請を送付しないと入場できなかったとのことですが、今回は最初からパブリック化されているため参加しやすいといった点も好評でした。
急な質問にも関わらず、皆さん気さくに答えていただき、本当にありがとうございました!
出逢いの記録
(※クリックで拡大)
バーチャルマーケット2を振り返って
気になったモデルがあれば、その場ですぐに試着できて、そのままイベントも楽しめる本イベント。カッコイイ装備アイテムを手にポーズを決めたりと、「ちょっと恥ずかしい」なんて気持ちを忘れるくらい没頭できました。
子どもの頃に夢見た世界で夢見た自分の姿になれる。しかも、場所や時間、年齢の制約を受けることもなく。
案内してくれたルートさんの
という言葉が印象的でした。
(※レディ・プレイヤーワン=スティーヴン・スピルバーグ監督の映画作品。仮想現実を舞台にしたSFアドベンチャー。原作小説「ゲーム・ウォーズ」)
惜しむらくは、6ワールド全10会場を回りきるには、3時間(+インタビューで2時間延長)では全くもって足りなかったということ。もっと1つ1つの作品をじっくり見て、すべてのギミックを確認、体験してみたかった…!!!
それぞれの想いが込められた作品と、その創造主たる製作者さん、そして大きなイベントを成功に導いた運営スタッフさんと協力者の皆さまには頭が下がる思いです。
楽しい時間を、空間を、体験を届けてくださり、本当にありがとうございました。
途中画面酔いをした筆者の分まで走り回ってくださったルートさん、突然の問い合わせにも関わらず迅速で丁寧なお返事をくださった動く城のフィオさん、重ね重ねありがとうございました。
そして早くも次の開催が楽しみで仕方ありません。だって、もっともっと楽しいことになっていく予感しかないですよ、ね!!!
ご協力(臨時特派員):ルート様
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