2019年11月のデビュー以来、「映画」を軸に活動しているVtuber、常世モコ。
YouTubeでは「常世モコの映画100本ノック」と題した映画レビュー動画のほか、毎週の金曜ロードショーの同時視聴配信などを実施。その映画愛が注目され、映画ライターとしての活動実績もあります。
Vtuber Postでは今回、そんな常世モコさんに2度目のインタビューを実施。
2020年5月のインタビューから1年半を経て、活動の内容や方針に変化はあったのか。活動も3年目に突入した今、1人のVtuberとしてどのようなことを思うのか。1時間以上にも及んだロングインタビューで、たっぷりとお話いただいた内容をお届けします。
インタビュー・執筆・編集 / けいろー(@K16writer)
目次
「継続は力なり」はマジだった!バーチャルの新しい人生で最初に挑んだ、映画100本ノック
――まずは自己紹介をお願いいたします。
常世モコ(以下、常世):
はい! 映画だいすきVtuberの、常世モコと申します。今は転職していますが、元社畜です! 辛い思いをしていた社畜時代に映画やYouTubeに救われていた経験から、「当時の私のような人たちを癒やしたい!」と思って活動しています。よろしくお願いします!
――よろしくお願いします。常世さんには1年半前にもインタビューをさせていただきまして、その節はありがとうございました。
常世:
こちらこそありがとうございました!
Vtuberになったのは、疲れた人を癒したいから――映画100本レビューに挑戦中の常世モコが語る「コンテンツ」の魅力
――1年半を経ていろいろな変化もあるかと思いますが、前回のインタビュー当時はまだ挑戦中だった「常世モコの映画100本ノック」について改めてお聞きできればと思います。今や常世さんの代表企画のひとつとも言える「映画100本ノック」ですが、どのような企画なのか教えていただけますでしょうか。
常世:
「映画100本ノック」は、映画レビュー動画を100本投稿するという企画です! 配信がある日以外は毎日動画投稿する、というルールで挑み、5ヵ月かけて完走しました!
企画を始めたきっかけは、Vtuberデビューして映画レビュー動画を投稿したけどぜんぜん再生されなかったことです。で、いろいろ悩んでデビュー後2ヵ月くらいはほとんど活動せず、「無」の時を過ごしていました……。
そしてたどりついたのが、「これは、100本ノックをやるしかない!」という結論で(笑)
そもそも私は映画が好きだけどめちゃくちゃ詳しいわけではなかったので、「映画レビュースキルを磨きたい」「今まで観てこなかったジャンルの映画にも勉強したい」という気持ちもあって、この企画を始めました。
結果、去年は1年間で300本くらい映画を観ました。「100本ノック」ではリスナーさんからおすすめをしてもらった作品を観ることも多かったので、「視聴者の方におすすめしてもらった映画に育てられた」みたいなところも結構あるんじゃないかなと思っています!
――「この企画を始めたことによってVtuber活動が習慣化した部分もある」と考えると、ある意味では「常世モコのYouTubeチャンネルの礎となった企画」とも言えそうですね。
常世:
そうですね! あまり考えずに突然100本ノックを始めて、はじめは動画を投稿しても1日後の再生回数が30回くらいだったりしたのですが……。それでも「見てもらえるって嬉しいな」という気持ちで続けていたら、それこそけいろーさんにも見つけてもらって、前回のインタビューのお声がけもいただけましたし。
ほかにも、100本ノックを完走したあとにムービーナーズさんから「記事、書きませんか?」とお誘いをいただいたのですが、そのときに「なんか狂った企画をしている人がいるな、と思った」みたいなことを仰ってて(笑)。自分としては本当にやってよかったと思いますし「結果的に看板になった企画」っていう感じです。
もちろん、反省点もいっぱいあります。振り返ってみると、100本ノックの動画のなかで「再生数が10,000回を超えて成功した!」と思えたのは『ミッドサマー』のレビューくらいで。
動画の作り方も工夫を重ねていったわけでもないし、強いて言えば「字幕を入れるのがちょっと早くなった」くらいの話なので。もう少し工夫や改善をしながら継続するべきだったかな、と思っています。
でも結果的に看板企画になって、いろんな人から「100本ノックの子だよね」って言ってもらえるようになったし、挑戦したことに後悔はないです!
自己紹介をするときにも、「何か一言で言える特徴があるとキャッチーだな」という実感があります。たくさんのVtuberさんがいるなかでも、「でも映画100本ノックをやってる人はいない!」 と(笑)。
ただ、やってるときは超辛かったです。もう毎日泣きそうでした(笑)。
――私も本や映画の感想をブログで書くことがあるので、「すごいことをやってる人がいる!」と尊敬の念を感じながら見ていた覚えがあります。映画を毎日のように観て、その感想を言語化して、まとめて、さらにそれを動画に落とし込んで、編集して、投稿する――という、とてつもない作業量ですよね……!
常世:
いやー、ありがとうございます。わかっていただいて(笑)。動画編集以外に「映画を観て、言語化する」部分も、結構時間が掛かるんですよね。
当時は「これでいいのかな……まあいいか!」「悩んで止まるくらいだったら、やっちゃおう!」みたいな勢いで投稿した動画も多々ありました。
Vtuberって、「バーチャルで新しい人生を始められる」みたいなところがあると思っていて。それのおかげで私も、「新しい挑戦だから、失敗してもいいや!」「もしかしたら100本ノックも途中でコケちゃうかもしれないけど、でもそれは自分の話だし!」といった気持ちで活動していて、当時は「失うものがないからこその気持ちの強さ」があったと思います。
Vtuber活動のやりがいと、継続の肝となる「型」
――「映画100本ノック」は常世さんにとって名刺代わりの代表企画である一方で、この挑戦によって培われたスキルもたくさんありそうですよね。「思い切って行動する行動力」とか、「微妙に感じられた映画も自分の言葉で感想を伝える言語化能力」とか。
常世:
そうかもしれないです。以前、広告代理店で働いていたときは、自分の仕事が自分だけに返ってくるわけじゃないところがあったんですよね。自分が関わった広告は当然ですがクライアントさんのものになるし、そもそも自分1人では作っていないし。
そんな前職での経験もあって、「がんばったことが良くも悪くも自分に返ってくるVtuber活動はすごく新鮮で、楽しみながらできた」という部分はあるかもしれないです。
生活リズムは社畜時代と変わらないけれど、やっている活動は好きなことだし、やった分だけ自分に返ってくるし。活動を待っててくれるリスナーさんもいるし。「ああ、この環境はすごくありがたいなあ」と思って……がんばれましたね(笑)。
――「映画100本ノック」のあとも「春のモコ祭り」や「秋のモコ祭り」といった毎日更新型の企画をたびたび開催しており、「継続」が活動のひとつのテーマとしてあるように感じられます。やはり「映画100本ノック」の経験と実績があったからこそ、「毎日更新」という形の企画にしているのでしょうか。
常世:
それもありますね。100本ノックの成功体験も大きいですが、私の場合は「型」にはめて先にルールを作っちゃうほうが続けやすい、というのが大きな理由です。
期間を設定して「その間は毎日がんばろう!」と決めれば、生活リズムも調整しやすいんです。最近は集中期間の前に動画のネタと配信スケジュールをざっと組んでおいて、それをひとつずつクリアする、といった形で進めています。「『型』があったほうが視聴者さんも追いやすいんじゃないかな?」とも思ってます。
再生時間を増やしたいVtuberには「同時視聴」がおすすめ?
――動画・配信・企画など、試行錯誤されつつ活動に取り組まれている常世さんですが、特にここ1年くらいで「これは良かった」と思う企画はありますか?
常世:
圧倒的に良かったのは、金曜ロードショーの同時視聴です。すっかり生活習慣になった活動のひとつで、これも「金曜ロードショーの同時視聴を1年半以上継続している人は私以外いないだろう」と自信を持って言える看板企画です!(笑)
視聴者からも「金曜21時は、モコちゃんのチャンネルで一緒に映画を観るのが習慣になった!」と言っていただけています。最近は同時接続数も安定して100を超えるくらいで、本当にありがたいです!
私は最初、「私と映画を観ることに価値がある」とは正直思っていなくて(笑)。始めたばかりの頃は「映画を観ながら何を喋ればいいんだろう?」と思ってました。映画って黙って観るものだと思ってたので。でも、リスナーさんから「楽しかった!」とか「また一緒に観よう!」って言ってもらえたことで、同時視聴配信を続けようと思えたんです。
ちなみにYouTube収益化の条件に「再生時間4,000時間」がありますが、私は金曜ロードショーの同時視聴を始めてから再生時間が鬼のように延びました。なので、再生時間が延びずに悩んでいるVtuberさんがいたら、同時視聴はかなりおすすめなんじゃないかなーと。
同時視聴のあいだはずっと配信を再生してもらえて、同時視聴には視聴者を縛りつける力があるので(笑)。
サッカーやお笑いも好きで、年末は『ガキ使』の同時視聴を6時間やったんですけど、そのときもたくさんの人が来てくれました! 自分の同時視聴に価値があるっていうことを本当に知らなかったのですが、意外と楽しんでもらえているのでありがたく感じています。
インターネット人見知りバーチャルOL、コラボをする
――この1年間の変化といえば、ほかのVtuberさんともコラボするようになりましたよね。特に千夜イチヤさんとはすごく仲良くされているイメージがあります。
常世:
そう! イチヤさんとは本当に仲良くさせていただいていて!
イチヤさんはすごい人なんですよ。人を巻き込む力もあるし、すごくいろいろ考えているし、おもしろいし、話しやすいし……ってめちゃめちゃ褒めましたけど、回し者ではありません(笑)。あとは単純に見た目も好きで、「好き好きー!」と思ってTwitterでめっちゃふぁぼってたら、仲良くなれました。
本当に私、周りの方々と比べたらほかのVtuberさんとのコラボ回数は少ないと思うんですけど、縁をいただいた方とはコラボできています。ほとんど自分から声をかけたことはないです……人見知りのなかの人見知りなので、インターネットでも人見知りをしてしまうという……。
エヴァンゲリオンを1ミリも知らないVtuberが「碇シンジがピカチュウの首を絞めるシーン」を再現したらこうなった。#千夜イチヤ #常世モコ pic.twitter.com/X3tIMNQYXR
— 千夜イチヤ☪️📜💸語り手Vtuber (@senya_1ya) September 1, 2020
――人見知りしてしまうお気持ち、わかります(笑)。コラボにつながるきっかけとしては、Twitterでのやり取りが多いのでしょうか?
常世:
そうですね。Twitterでリプライのやり取りをしたところから話が広がったこともあります!
ただ、私の場合は「コラボ先で会った方と話をするようになった」というパターンが多いです! 「同じ場にお呼ばれした」というきっかけがあるので話しやすくって。
謎解きも結構好きで、夜枕ギリーさんの「ウミガメのスープ」の動画に出させていただいたとき、マダミスを作っていらっしゃる俎ほどきさんと知り合いになって。そこからマダミスに誘ってもらって、マダミスで出会った方にまた別のコラボに誘っていただいて……みたいな流れで、少しずつですがVtuberさんの知り合いも増えてきました!
素敵な縁をいただいていて、本当に、周りの方に恵まれているのは感じます。この前は読谷山文乃ちゃんとコラボしたんですけど、読谷山ちゃんもマダミスきっかけで知り合いました。「文学少女と映画好きだったら話も合いそう」みたいな流れで盛り上がって、話してみたら楽しくて、めちゃくちゃ一瞬で1時間が過ぎました!
――最終的には「姉妹」みたいな感じになっていましたよね(笑)。いろいろなきっかけがあり、コラボ先でつながって……という広がりが自然とできていくのも、やはりVtuber活動の魅力ですか?
常世:
本当にそうだと思います。インターネットでもこんなふうに縁が得られるってすごいですよね。「バーチャルで新しい人生を始めて、知り合いもまったくいないところからつながれた」ってすごく嬉しいことだなと思います。
Vtuber活動を始めて知った「歌」の楽しさと、オリジナル曲
――常世さんといえば「映画」ですが、この1年間で新たに挑戦したことのひとつに「歌」もあったのではないかと思います。7月末にはついにオリジナル曲も発表されましたが、楽曲の誕生の経緯を教えていただけますでしょうか。
常世:
『おやすみかんのうた』に関しては、noteで雑な日記を書いていたとき、日記の最後に「おやすみかん」って挨拶を書いていたんですよね。
で、配信で「おやすみかんのうた、欲しいね」という話になりまして。そこに作曲ができるリスナーさん、メリッサさんがいて「作りますよ!」って言ってくださったので、「え!? いいんですか!?」と(笑)。「あの夏色まつりちゃんの曲を作っている、メリッサさんに作っていただいていいんですか!?」っていう感じだったんですけど、本当に作っていただけることになりました。私も初めて歌詞を書いて。
『おやすみかんのうた』の歌詞は、イメージが最初から明確にあったので、意外とすっと書けました。でも、歌が得意ではなくて! 実は私、すごくちっちゃい頃にちょっとだけ子役をやっていたのですが、めちゃくちゃ音痴で。合唱のときに「ちょっと君は……うん、後ろで歌おうか!」なんて言われるくらいで、歌うことにトラウマ? 劣等感? があって。
だけど、Vtuber活動をしていたら声を褒めてもらえる機会が増えて、「自分の声を褒めてもらえるって、すごく嬉しいな」って思いました。それに、歌枠ってどこを切り取っても見やすいし、入りやすいと思うんです。私もほかのVtuberさんの歌枠をよく作業中に流していて、歌から好きになったこともあったので挑戦してみようと思い、練習し始めました。
で、今は2曲目の、テーマ曲を準備中です!
――本当ですか!? テーマ曲……というと、「常世モコのテーマソング」のような?
常世:
はい! 私の想いというか、ストーリーが詰まった曲を作りたいなって思って、メリッサさんに作っていただきました。めっちゃかっこいいんだけど、めっちゃ難しくて(笑)。いつもの私のふわふわな感じだと歌いきれないので、ボイトレに通いながら練習しました。曲は12月11日に公開予定です!
Vtuber活動を始めたことで「歌うのが楽しい」って思えたのも嬉しい発見ですね。ボイトレは大人になってから音楽の授業を受け直してるみたいで楽しくて、歌が新しい「趣味」になりつつあるかもしれません(笑)。
――大人になってから新しい楽しみができるの、素敵ですね!
常世:
そうですね。デビュー半年記念配信の時点でも話したんですけど、「Vtuber活動を始めて、世界が広がった」という実感があります。こんなに在宅の活動なのに!(笑)
歌も本当に縁があってのことなので……。『おやすみかんのうた』の動画も、私の配信の神オープニングを作ってくださったゆじゅさんが「いいですよー!」って快く作ってくださって。めちゃくちゃクオリティの高い動画を作っていただきました。本当にありがたいです!
ゆじゅさんもリツイート企画からの縁なので、本当に私は恵まれているなあと。機会にも結構恵まれてきたし、何と言っても人に恵まれてきたと思います。
第1回 なんかつくる企画 ~完~
— ゆじゅ🔳 (@yujumofu) August 20, 2020
常世モコさん (@moko_tokoyo )にOP映像をプレゼントしました🎁
ボイス収録やカチャンコ🎬の手書き文字など、ご本人にも制作にご協力いただきました!pic.twitter.com/KZULlg5XQX
活動の振り返りと、「ワクワクしてもらう」ための考え方
――ほかに常世さんといえば、節目節目でご自身の活動や数字を振り返って分析されているイメージもあります。ああいった振り返りは……その、言い方はアレかもしれませんが、元社畜としての性分というか、ある種の「癖」みたいなものだったり……?
常世:
あはははは! うん、癖……ですね、多分! どうせ自分でも反省会をやるので、「配信でやっちゃおう!」という(笑)。リスナーさんからも「こういうところが良いよ」「こういうのすごく楽しかった」といった声をもらいながら活動してきたので、振り返りも一緒にやっていきたい、という気持ちがあります。
「私は今、こう考えているよ」「これからこういうことをやるよ」という話をすると、それに共感してくれる、深いリスナーさんがいてくれる。そのことを本当に心強く感じているから、振り返りも含めていろいろ公開しちゃってるのかもしれません(笑)。
――たしかに常世さんは、「私はこういうことをしてきて、今後はこういうのをやりたい」という気持ちを普段から言語化して表明されている印象があります。それを聞けるからこそ「安心して応援できる」と感じているリスナーさんも、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
常世:
そうですね。実際「今後にワクワクしてもらえるかどうか」がチャンネル登録や応援につながると思っているので、そういう意味でも意識してお話している部分もあるかもしれません。
Vtuberさんたちの「来月新衣装を出します」「嬉しい重大発表アリ!」とか、先の予定がわかるとワクワクするし、楽しみに感じられるので。私も「新作の映画が来年出る」と聞いたら「来年まで生きよう!」と思えるので(笑)。そんな「ワクワク」の一部になれればいいなあ~と思います。
「何のために何をしたいか?」という自分の内側の軸が大切
――前向きで明るいお話のあとで恐縮ですが、逆にVtuber活動を約2年間にわたって続けてきたなかで、辛かったことや、続けることで出てきた悩みなどはありますか?
常世:
「悩んだときに相談できない」ことが一番の悩みかもしれません。私はVtuber関連の友達も少なくて活動の相談とかもなかなかできないので……。自分用のNotionがあって、そこにひたすら書き殴る、みたいな壁打ちをしまくりました。
特に「活動がうまくいかない」「結果が出ない」「タスクが溢れて手が回らない」みたいなことでは悩みました。で、そのうち「Vtuber活動って趣味なの? 仕事なの?」という命題にぶち当たって(笑)。
「趣味」で自分が楽しむために活動しているなら、辛い思いをしてまで続ける必要はないのかもしれない。でも気づけば6,500人以上の登録者がいて、「金銭的な応援もいただいてるし『仕事』なのかも? う~ん……」と悩むうちに気づいたのですが、「趣味」か「仕事」かはどっちでも良くて、大切なのは「何のために何をしたいか?」という自分の内側の軸だったんですよね。
なので、迷ったときはデビュー時の純粋な想いに立ち返っています。それに、応援していただけるとやっぱり「がんばろう!」って気持ちになります。コメントとかリプライとか、一つ一つにいっぱい救われています。支援いただいた分、いろいろ投資して活動を広げたいと思っていますし、本当に視聴者のみなさんに支えられているな、という気持ちです!
がんばろう、今のうちに出来る限りいろんな価値発揮して、生きてる証をいっぱい残したい、、!!
— 常世モコ🎬12/11(土)2ndオリ曲公開💓 (@moko_tokoyo) November 28, 2019
――活動を続けるなかでモヤモヤすることがあったとしても、それ以上にVtuber活動によって得られるワクワクの感情と、活動に対する責任感が勝っている、ということでしょうか。
常世:
そうですね……モヤつきみたいなものは結構あるんですけど。でも結局は、「自分でやったことが自分に返ってくる」というおもしろさが、今もまだ自分のなかで続いているのはあるんじゃないかなあと思っています。
――先ほど「『何のために何をしたいか?』という自分の内側の軸が大切」というお話がありましたが、常世さんにとっての「軸」とはどのようなものですか?
常世:
やっぱり「社畜時代の私のような、疲れている人を癒したい」という気持ちはブレていません。ただ、まだまだこの目標には届いていないな~と思うところでもあります。
それから、デビュー時には「変わりたい」「何者かになりたい」という気持ちがあって。これは今、見てくださっているみなさんがいることで達成し始めていると思っています!
あとは、Vtuberだけを仕事にするのは……どうだろう。専業のVtuberになっている自分はあまり想像ができなくて、仕事は続けていそうな気はします(笑)。
そういう意味では、「7割会社員で、3割Vtuberみたいな生き方ができたらいいな」って思います(笑)。週3〜4日くらいは通常の会社員をして、週2〜3回はVtuberの活動をする……みたいな、そういう生き方ができたらいいのになあ……。
実は私、去年まではいわゆる「社畜」だったんです。
当時は毎日のように終電かそれ以降に帰宅するのが当たり前で、休日も疲れ果てて寝ているだけ……みたいな生活をしていました。(中略)気づけば身体も心もボロボロになっていました。
そんな中、映画やYoutubeなどのコンテンツにふれている時間だけは、「生きてる」って感じがしていたんです。本当に救われていました。
今は転職して心と身体に余裕ができたので、「あのとき私が救われていたみたいに、今度は私が誰かの癒しみたいなものになれたらいいな」って思って、Vtuberを始めました!
(Vtuberになったのは、疲れた人を癒したいから――映画100本レビューに挑戦中の常世モコが語る「コンテンツ」の魅力より)
YouTube広告を出してみたことで生まれた課題意識
――ところで話は変わりますが、常世さんのチャンネルでは映画のレビュー動画や金曜ロードショーの同時視聴配信がまんべんなく見られている一方で、ずば抜けて再生されている動画が2本ありますよね。
常世:
ありますね! 特に再生されている動画のひとつに「1分で分かる常世モコ」というものがありますが、あれって実は、YouTube広告によってあの再生数に達しているんですよ。
いつだったかに千夜イチヤさんが、「モコちゃんはすごくYouTube広告に合ってると思う」って言ってくれたことがあって。「なぜならターゲットが明確だから」と言われたことで、「たしかに! なんてすごい人なんだ……!」って納得して、広告を出すことにしたんですよね。
そこで、「『ぽんぽこ24』に応募するために動画を作って、その動画を広告にも出そう!」と思って出してみたら、結構反応が良くて。しかもぽんぽこさんにも採用いただけたので、その放送からの流れで再生された数もあるんですけど、広告でもかなり再生回数がまわっていました。
で、「じゃあもうちょっと短くしてみよう」と考えて、動画の時間を短くした「30秒で分かる〜」も作ってみた感じです(笑)。
その結果、わかったことがあります。「広告を出したら登録者が増えた」「そこから好きになってくれた人がいた」ということは、「まず見てもらう機会が大事!」ということ。広告を出したことでそんな発見がありました。
もともと私のチャンネルは、レビュー動画も同時視聴も映画のタイトルで検索して来てくれる人が多かったのですが、「やっぱり接触する機会を自分からも作らなくちゃいけないな」と思いまして。そういう意味でも、コラボや企画に参加するとか、何かに応募するとか、露出の機会に対して敏感になって、アンテナを張っていかないといけないなと考えています。
それこそ「ぽんぽこ24」のときも、動画を作る前は「あー、でも私の動画、どうかなー」「みんなすごいからなー」って後ろ向きになってたんですけど、そういうことを考えすぎてもダメだなと(笑)。そこは挑戦してみるべきだなと。もちろん挑戦してダメだったこともありますけど、挑戦しないよりはしたほうがいいと今は思います。
デビュー当時は良い意味でフレッシュな気持ちで活動できていた気がしますが、登録者数が2,000〜4,000人くらいの時期には「失敗したらどうしよう」「新しいことをやったら、なんて言われるかな」などとモヤモヤと考えて、足踏みをしちゃってたんですよね。
でも今は、「やっぱり攻めたほうがいい」と思えるようになりました。モヤついた期間もありましたが、今はもう攻める気持ちで毎日活動しています。
改めて…昨日2X歳を迎え計6時間強の配信をしました!たくさんのお祝いを本当にありがとう!ほとんどずっと居てくれた方もいて、嬉しかったです。賑やかな誕生日を過ごせたのは去年転職してVtuberを始めて新しい自分になれたから。これからもたくさん新しい挑戦をします!新しい私もよろしくね!!!! pic.twitter.com/XEsVAIWlFx
— 常世モコ🎬12/11(土)2ndオリ曲公開💓 (@moko_tokoyo) July 19, 2020
「自分の活動が誰かの創作意欲につながるって、なんて素敵なことなんだろう」
――いよいよVtuber活動も3年目に突入した常世さんですが、これからも活動を続けるにあたって、何か目標はありますか?
常世:
途中でもお話したとおり、活動を続けるなかで世界が広がって、「もっとたくさんの人に自分の動画を届けたい!」という欲が出てきました。なので、まずは登録者10,000人を目指して、それに向けてがんばっていこうと思っています。
今までやってきたことは続けたいし、活動の幅も広げていきたい、という気持ちがあります。コラボも、もっとしてみたい……かな!
――ますます外の世界へと広がっていく常世さんの活動を楽しみにしております! では最後に、読者さんとファンに向けてメッセージをお願いいたします。
常世:
いつも応援、本当にありがとうございます! ここまで来れたのは出会ってくださったみなさんのおかげです。これまでの出会いを大切にしながら、これからもみんなと新しい世界を見られるような活動ができたらいいなと思います!
それと、かつての自分のような疲れた人が私の配信や動画を見て、ちょっとでも笑顔になったり、「明日もがんばろう」って思ったり、あるいは「社畜をやめよう!」と思ったりするような、そんな活動ができたらいいなとも思っています。
実際に「モコちゃんみたいになりたい!」「常世さんを見て、会社員をやりながらVtuberをやってみようと思いました」と言われたことがあって、本当に嬉しかったんです。ファンアートをもらったときや、楽曲を作っていただいたときもそうだったんですけど、「自分の活動が誰かの創作意欲につながるって、なんて素敵なことなんだろう」と。
時間をかけて、頭をひねって、心を使って、何かを生み出そうと思ってくれる。そういうエネルギー源になれるって、本当に素敵なことだなあと思います。1人の映画を愛する者としても、「自分の活動が別のコンテンツにつながる」というのはすごく嬉しく感じますね。
これからも応援してもらえたら嬉しいです!
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