HTC公式VIVEアンバサダー・VTuber「バーチャル美少女ねむ」とスイスの人類学者「ミラ (Liudmila Bredikhina)」は10月28日、現在注目が集まる「メタバース」での生活実態を明らかにするために全世界のユーザーを対象に行ったアンケートへの回答1,200件を分析したレポート「ソーシャルVR国勢調査2021」を公開した。利用サービスや目的・利用時間などの一般的な統計に留まらず、「お砂糖」と呼ばれるVR内恋愛やファントムセンス(VR感覚)など、VRならではの実態に深く踏み込んだ60Pにも及ぶ壮大な内容だ。今後のメタバースのより良い未来に向けた議論を活性化するため無償での公開となった。
目次
調査:ソーシャルVR国勢調査2021
・目的:本調査はCOVID-19拡大後に利用者が急拡大したソーシャルVRのユーザーの生活実態を明らかにするために実施した。恋愛やファントムセンス(VR感覚)にスポットを当てた質問も用意した。
・対象:VRヘッドマウントディスプレイを用いて、ソーシャルVR (VRChat、Rec Room、Neos VRなど) を直近1年以内に5回以上使ったユーザーで、英語もしくは日本語話者の方 (デスクトップ・スマホからのみの利用者は今回は対象外)
・方法:2021年8月23日~9月11日の期間、 Googleフォームによる公開アンケート。
・言語:日本語と英語のバイリンガル形式
・レポート方法:各項目の相関関係を分析し、結果を可視化した。
回答数:1,197件
日本・北米・ヨーロッパを始め、全世界のソーシャルVRユーザーから回答が集まった。利用するソーシャルVRは、VRChat・RecRoom・Neos VR・バーチャルキャスト・clusterと多岐に渡った。
3つのテーマに基づいてレポートをまとめた。
Part1「VR生活実態レポート」概要
テーマ:ソーシャルVRの利用動向・アバター表現・音声コミュニケーション
1.国に関わらず、VRChatが最も利用されるソーシャルVRサービスだった。
2.ソーシャルVRの最大の利用目的は「友達との交流」だが、サービスにより顕著な違いがみられた。
3.約半数が「ほぼ毎日」「3時間以上」利用する「総プレイ時間500時間超え」のヘビーユーザー。
4.国やサービスに関わらず、ほとんどのVRユーザーが仮名 (キャラクター名) で生活していた。
5.ユーザーの物理性別に関わらず、約7割が女性型のアバターを利用する傾向がみられた。
6.アバターの種類は人間型が支配的。サービスにより傾向の差があり、多種多様なアバターがみられた。
7.約17%がボイスチェンジャーなど加工された音声を利用しており、うち半数以上が女声を出す目的であった。
Part2「お砂糖レポート」概要
テーマ:VR環境での恋愛と恋人関係 (お砂糖)
※「お砂糖」とはVR内での恋人関係を示すスラング。
<VR恋愛>
1.約40%がVRで恋に落ちた経験あり。プレイ時間と相関があり、ヘビーユーザーでは76%を超えた。
2.VR内で相手に惹かれるきっかけは「相手の性格」が半数以上。次いで「アバターのビジュアル」「声」
3.約3/4にとってVR内での恋愛に相手の物理的な性別は関係ないが、国やサービスにより大きな違いがみられた。
<VR恋人 (お砂糖)>
1.約30%がVR内で恋人ができた経験あり。プレイ時間と相関があり、ヘビーユーザーでは72%を超えた。
2.VR恋人が物理現実でも恋人である割合は1/3程度。
3.VR恋人はほとんどの場合一人だけである。
Part3「ファントムセンスレポート」概要
テーマ:VRアバターコミュニケーションとファントムセンス(VR感覚)
※ファントムセンス (VR感覚)とは、本来視聴覚しか再現されないはずのVR体験中に擬似的に他の感覚を得る現象全般を本調査では指すものとする。
<VRアバターコミュニケーション>
1.約3/4が物理現実より相手との距離が近くなる。
2.約74%がよくスキンシップをする一方、約43%は相手によっては不愉快だと答えた。
3.約1/3がVRでのセックス経験あり。プレイ時間と相関があり、ヘビーユーザーでは2/3を超えた。
<ファントムセンス (VR感覚)>
1.落下感 (約75%) や触覚 (約45%) は比較的感じやすい。限界はあるが、感じる割合はプレイ時間と相関あり。
2.触覚と吐息など、似た感覚ほど共に感じやすい相関関係がある。
3.触覚は、顔・手など視界に入りやすいアバターの部位ほど感じやすい。
レポート:ソーシャルVR国勢調査2021
・レポート形式:全60ページ。pdf形式。日本語と英語のバイリンガル形式。
・レポート公開ポータルサイト:
(日本語版) https://note.com/nemchan_nel/n/ne0ebf797984c
(英語版) https://note.com/nemchan_nel/n/n6c6f1bb22ef1
・無料公開:今後のメタバースのより良い未来に向けた議論を活性化するため無償での公開とした。
・読後アンケート:更なる分析と今後の調査活動の参考のため、アンケートでフィードバックを受け付けている。
調査チーム : VTuber研究ユニット「Nem x Mila」
「ソーシャルVR国勢調査2021」は、VTuber「ねむ」と人類学者「Mila」によるVTuber研究ユニット「Nem✕Mila」による調査プロジェクトである。今後はレポートを元にした動画配信や有識者との対談企画を予定している。昨年もインタビュー記事の公開や「バーチャル学会2020」での登壇発表を行っている。
※参考:新型コロナは、バーチャルコミュニケーションを加速したか – 丹治吉順|論座 – 朝日新聞社の言論サイト – https://webronza.asahi.com/culture/articles/2020073000009.html
※参考:「バーチャル学会2020」12日に開催 講演内容の詳細を発表 GOROman、バーチャル美少女ねむなど登壇 | PANORA – https://panora.tokyo/archives/14700
■バーチャル美少女ねむ
日本のバーチャル文化エヴァンジェリストにして、世界最古(自称)の個人系VTuber。NHK人気番組「ねほりんぱほりん」にゲスト出演しお茶の間に「バ美肉(バーチャル美少女受肉)」の衝撃を届けた。VTuberによる人類進化を予言した自筆小説『仮想美少女シンギュラリティ』はamazon売れ筋ランキング「小説・文芸」部門1位達成。HTC公式の初代VIVEアンバサダーにも任命されている。
Twitter : https://twitter.com/nemchan_nel
YouTube : ねむちゃんねる https://www.youtube.com/nemchan_nel
■ミラ (Liudmila Bredikhina)
VTuberを研究するスイス・ジュネーブ大学の人類学者 (修士課程終了) にして、自身もバーチャル美少女ねむと共にVTuberとして活動する。日本のVTuber現象が人間のアイデンティティやコミュニケーションに与える可能性について着目し、様々な研究レポートを発表して話題となっている。
Twitter : https://twitter.com/BredikhinaL
ソーシャルVR (メタバース) とは
「ソーシャルVR」とは、ヘッドマウントディスプレイなどを利用し、多数のユーザーがバーチャル空間内でコミュニケーションできるサービスのことである。バーチャルYouTuberのライブに参加して会いに行く事ができたり、大多数のユーザーが集まった様々なイベントなども行われている。圧倒的なユーザー数を誇る「VRChat」を始めとして、様々なサービスが続々と登場しており、バーチャル空間では感染リスク等もないため新型コロナ拡大の影響もあり利用者が急拡大している。
最近ではSFに登場する仮想空間になぞらえて「メタバース」と呼ばれる事も多い。今後10年間で10億人のユーザーが利用するようになるとも言われており、Facebookが今後毎年100億ドル以上を投資すると発表し話題となっている。
ただし、様々なサービスが存在することと、実際のコミュニケーションはフレンド同士の閉じたコミュニティで行われる事が多いため、その生活の実態はこれまでなかなか明らかになる事がなかった。
後援拡散協力
■NPO法人バーチャルライツ
VR文化の振興を目的として設立された世界初のVR市民団体。VR空間で生きる者たちの権利を守るための提言活動saやVR文化を広めるための各種イベントの企画運営など、様々な活動を行っている。
■VNOS/株式会社ブイノス
「Vの者がVのまま社会参画できる未来」を目指す実践検証組織。所属する個人系バーチャルアーティストたちや、企業である株式会社ブイノスと連携しながら、個人と法人の枠を超えた様々なプロジェクトを行っている。
投稿者:バーチャル美少女ねむさん
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